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和太鼓朗読劇「石川啄木物語」〜君に与ふウタ〜/函館市文学館




2019年10月12日、9月の函館市文学館「第二回文学の夕べ」に引き続き、第三回目を行わせて頂いた。 今回は和太鼓朗読劇「石川啄木物語」〜君に与ふウタ〜。 函館を離れ上京してから26歳で没するまでに残した手紙や日記、詩歌がその時間軸に置かれた構成脚本。


『一生に二度とは帰って来ないいのちの一秒だ。おれはその一秒がいとしい』『おれはいのちを愛するから歌を作る』『詩はいわゆる詩であってはいけない。人間の感情生活の変化の厳密なる報告、正直なる日記でなければならぬ』 これらの言葉が私の胸の真ん中に迫る。




病に伏すなかの晩年の歌『何か、かう、書いてみたくなりて、ペンを取りぬ 花活(はないけ)の花 あたらしき朝』 この心を刻んで、啄木公演は彼の生涯とともに結ばれていった。夭逝した啄木はいまも生きている。この残した言葉の中に。私たちに感情生活の営みを忘れてはならないと、生ある一分一秒を見つめて生きることを諭し続けている。そして清らかな「あたらしき朝」があなたにも訪れることを願い続けているのだ。

私は作曲と指揮、芸術監督を務めさせてもらったが、その作品作りと稽古・公演を経て確かにそう感じた。啄木と共に生きている実感を持ったのだ。そして私もそうありたいと。邦楽器による楽曲作りを始めて30年になるが、私が果たさなければならない責任を感じている。それは10年前から本格的に取組み出したこと。文学者が残した言葉の背景と心情に寄り添う音作り。物語性。邦楽の響きに内包された可能性と付託。古典・伝統芸能に秘められたその役割と精神を、創作であるからこそ探究し、訪ね続けなければならないという想い。まだまだ未熟であるのだけれど、またひとつ歩むことができた。内省と希望をもたらしてくれた、この出逢いに、啄木との対話に、感謝したい。



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